鴨川日記

本の紹介を中心に活動しています。

『殯の森』

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『殯の森』(2007,河瀨直美) 河瀨直美監督の代表作。カンヌ国際映画祭グランプリ受賞。カンヌ国際映画祭での受賞は、カメラドールを受賞した『萌の朱雀』以来自身2度目。『萌の朱雀』でデビューした尾野真千子が本作の主演を務めた。私にとって最も好きな…

『四月の永い夢』

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『四月の永い夢』(中川龍太郎,2017) 中川龍太郎監督は、東京国際映画祭に出品された『愛の小さな歴史』『走れ、絶望に追いつかれない速さで』は鑑賞済みだが、どちらも好きな映画ではない。『愛の小さな歴史』に関しては端的に面白くなかったし、『走れ、…

『シェイプ・オブ・ウォーター』

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『シェイプ・オブ・ウォーター』(ギレルモ・デル・トロ、2017) NOT For Me。金獅子賞受賞の報に期待を膨らませていたがために、うまく楽しめなかったのは残念極まりない。アカデミー作品賞受賞。清掃員であるイザベラと、施設に収容されている半魚人との恋…

WHY I LOVE VOC@LOID

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VOCALOIDを追いかけ続けて10年がとうに経ちました。春先に作ったATBですが、せっかくなので記事にしました。文章を書かなくても成立する記事は有難いです。なお、自己紹介用に作った直近の10選にも入れた楽曲には★をつけました。何かのご参考に。YouTubeにも…

読書ノート

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牛田徳子『アリストテレス哲学の研究 - その基礎概念をめぐって』(創文社, 1991) アリストテレス哲学の研究―その基礎概念をめぐって 作者: 牛田徳子 出版社/メーカー: 創文社 発売日: 1991/04 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 以前より、何…

『天国はまだ遠い』

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2015年、濱口竜介監督の長編『ハッピーアワー』が映画ファンで話題となった。一般参加者を中心にしたワークショップを母体に制作されたこと、三部構成で5時間以上に及ぶ大作であること、そして何より演技の経験がなかった主演女優4名がロカルノ映画祭で高く…

朝日新聞の誤訳を糾弾する

昨日(2018/10/16)付の朝日新聞の記事を見ていたら,かわいそうなくらい馬鹿な誤訳に思わず鼻で笑ってしまったので、それを記事に書こうと思う。 その記事とは,「米大統領、失踪記者巡り国防長官をサウジへ ならず者関与示唆」とかいうもの。 これはどうや…

The flower of love fades before love fades

(もうだいぶ前に勉強ついでに書いてみたルネッサンス趣味の詩の習作をメモした紙切れを,今日本棚の整理をしていたらふと見つけてしまった。さして文学的価値などあろうはずも無く[まず今日にあってフェミニズム批評に耐えるものではない],出すべきところ…

2017年映画ベスト

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この記事の原版は2017年12月30日に公開したものであり、それをここに書き改めるものである。もともとこの記事が書かれた動機は、自分自身の従来の考えに反して私の「自分語り」をすることだった。私は「自分語り」は基本的に空しいものだと考えている。ここ…

ベン・ジョンソンの抒情詩より一編の詩の翻訳と紹介---「シリアに寄せる歌」

シリアに寄せる歌*1 ベン・ジョンソン あなたの目だけで私に乾杯をしてください*2 そうしたら私も、目であなたに祝杯を差し上げます。それか、杯の中にさえ口づけを残してくれれば 私にはワインなどいりません。魂からこみ上げてくる渇きは 神聖な酒を求める…

田中美知太郎の伝記

『時代と私』 田中美知太郎 時代と私 作者: 田中美知太郎 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 1984/05 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 私は、自伝というものを、教訓に富んではいるがどこか独善的で気まぐれなところのある、よく聞かされる昔…

『1925』に愛をこめて

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0 本稿は「初音ミク」10周年を記念して企画されたものである。本稿の元となるアイデアはSPQRとの会話の中で生まれた。SPQR独自のアイデアに基づく箇所については可能な限り文中で指摘することにする。同様に私独自のアイデアである場合にはそれを明記する。…

TVアニメ『絶園のテンペスト』について

All the world’s a stage,And all the men and women merely players;—Shakespeare, As You Like It, II. vii. 139-40 すべて世界は舞台であって、男も女のみな、役者にすぎぬのだ。シェイクスピア『おきに召すまま』拙訳 絶園のテンペスト コンプリート DV…

女を演じる人間によるクラウド9の研究

Cloud 9 メディア: ハードカバー この商品を含むブログを見る この『クラウド9』という演劇、なかなかけったいなものなの。男が女を演じ、白人が黒人を演じる。およそ<リアル>とは程遠いわ。みんながリアルよりも<リアル>なリアリティーを追いかけまわ…

A Study of Shakespeare's Sonnet 85 (以前の記事の英訳)

The Sonnets and a Lover's Complaint (New Penguin Shakespeare) 作者: William Shakespeare,John Kerrigan 出版社/メーカー: Penguin Classics 発売日: 2000/01/01 メディア: ペーパーバック この商品を含むブログを見る Sonnet 85’: ‘My tongue-tied muse…

なぜ『それ町』は<廻っている>のか?

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石黒正数『それでも町は廻っている』(少年画報社,2006-2017) それでも町は廻っている(1) (ヤングキングコミックス) 作者: 石黒正数 出版社/メーカー: 少年画報社 発売日: 2013/11/01 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (1件) を見る それでも町…

哲学・哲学史にこれから入門する人向けのごく私的な文献案内

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大学入学当初、いままで足を踏み入れたことがなかった新書コーナーで、私はあたふたしてしまっていた。哲学入門と称する本があまりに多すぎる!大学生協の小さなフロアに「最良の哲学入門」が何冊もある!!いったいどいつが本物なんだ!!!……本稿は、あの…

ソクラテスとホメロスのあいだで

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藤澤令夫「プラトン的対話形式の意味とその必然性 - 文学と哲学」『藤澤令夫著作集Ⅱ イデアと世界』(岩波書店)所収 藤澤令夫著作集〈2〉イデアと世界 作者: 藤澤令夫 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2000/11/06 メディア: 単行本 この商品を含むブロ…

詩論する詩・試論~シェイクスピア・ソネット85番~

シェイクスピア『ソネット集』 Shakespeare's Sonnets (The Arden Shakespeare: Third Series) 作者: William Shakespeare,Katherine Duncan-Jones 出版社/メーカー: Bloomsbury Academic 発売日: 2010/06 メディア: ペーパーバック この商品を含むブログを…

文字に添って

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B.フィンク『「エクリ」を読む』(人文書院, 2015) 「エクリ」を読む: 文字に添って 作者: ブルースフィンク,Bruce Fink,上尾真道,小倉拓也,渋谷亮 出版社/メーカー: 人文書院 発売日: 2015/09/29 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 現代…